『祈昌の世迷言』・・・アジアの片隅より

離島と本土を繋ぐ日本最小の『暁橋』のたもとから、娘と善き隣人に届けます。

問われる自覚と責任感・・・そして覚悟

集団感染が発生した知的障害者入所施設「見真学園」 此方より寸借



 広島市社会福祉施設で14日、新型コロナウイルスの感染者22人が確認された。



 広島市は、13日のPCR検査(遺伝子検査)で、陽性反応が出た介護職員の20代女性を中心に、クラスター(感染者集団)が発生したとみており、接触者を順次検査するらしぃ。



 広島市によると、感染者は施設の利用者17人と職員5人で、女性は3月28日、後に感染が判明する市立大の男子学生2人を含む計17人で会食をし、4月1日~10日は、週末を除き出勤していたらしぃ。



 こちらをクリック⇒RCC(中国放送)のニュース映像
 
 
 
 広島市は、14日、新型コロナウイルスの感染者の集団=クラスターが発生したと発表した市内の福祉施設で、新たに18人の感染が確認されたと発表した。



 これで、県内の感染者は合わせて108人に成った。


 4月14日に、新たに感染が確認されたのは、広島市佐伯区にある障害者支援施設「見真学園」の入所者11人と職員7人の18人で、「見真学園」では、すでに22人の感染が発表されていて、施設での感染者は合わせて40人になったんじゃった。


 また、4月18日に新たに発表された処によると、最初の検査で陰性だった入所者の内、発熱を発症した入所者を再検査したところ陽性反応が出たり、見真学園の関連施設や、廿日市市に住む「見真学園」の職員の家族3人も感染し、陽性反応がでたらしく、これ迄の「見真学園」の感染者は47人となり、さらなる感染者が出る事が危惧されるんじゃった。



 広島県内では、此れまで感染者が出ていなかつた呉市でも感染者が出て、4月19日現在の県内の新型コロナ感染者数は、136人に成ったんじゃった。



見真学園内に在る食堂 此方より寸借



 集団感染の発生源と成ったと考えられる20代の女性職員は、3月28日に、市立大の男子学生2人を含む計17人の合コンに参加したらしぃ。



 3月28日(土曜日)と言うと、緊急事態宣言は回避したものの、阿部首相が会見で、「旅行、運輸、外食、イベントで需要喚起&V字回復を」と呼び掛けよったし、前日の小池都知事定例会見でも、「週末外出自粛要請、平日は自宅勤務 花見など控えて」と、呼び掛けちょったんじゃが・・・。



 それ以前から、長男が通いよる通所施設からも、新型コロナウイルスの感染予防の為の注意喚起を促すパンフレットの配布や、手洗い・うがい・マスクの着用などを徹底する実施の要請が、早くから為されちょった。



 それは、知的障碍者は、周りが注意して感染を防いで遣らなければ、自分から感染を予防する事が難しい場合が多いぃけぇじゃと思うんじゃった。 



 「見真学園」でも、同じ様にされちょったと思うんじゃが・・・。



 儂の様な、いい加減なオジサンでも、息子に感染させちゃぁいけんし、息子から他の人に感染させて仕舞ぉても大事(おおごと)じゃけぇ、雨の日でも原チャリで通勤(普段、雨天だと路面電車で通勤する)し、極力、人との接触を避け、マスクの着用・手洗い・うがい・消毒の徹底を心掛けちょるんじゃった。



 それは、感染させた時に、どれだけの被害が発生し、どれだけの迷惑が掛かるかが、容易に想像できるけぇじゃった。 



 じゃのに、彼女は、合コンに参加した。



 知的障害者の入所施設で働いちょる職員としての自覚が無かったんじゃろぉか?



 その事以上に、合コンに参加する事の意味と価値の方が、彼女の中じゃぁ勝っちょったんじゃろぉか?



 それとも、「見真学園」じゃぁ、新型コロナウイルスの感染予防の為の注意喚起が、職員に徹底されちょらんかったんじゃろぉか?



 「見真学園」での感染者の病状が、比較的、軽度であると伝えられている事が、せめてもの救いなんじゃった。



長男が入所中に寝起きしていた雑居部屋 此方から寸借



 実は、2年前の三月の末日まで、長男は、「見真学園」に入所しちょったんじゃった。



 10年前に離婚した際、3人の息子の内、障碍が有る長男は、儂が引き取って暮らす事となり、次男と三男は、別れた妻が引き取る事になった。



 離婚の要因の一つが、「長男の養育に対する意見の違い」が在ったけぇ、当然の流れじゃった。



 しかし、8年前の交通事故で、儂が長期入院(4ヶ月)した折り、「見真学園」に入所する事となり、儂が退院後も、右足が不自由と成り、装具を装着して二本杖を使用しなければ歩行できない状態だった為、そのまま引き続き入所する事に成ったんじゃった。



 息子は15歳で、特別支援学校の高等部に、「見真学園」から通学しよったんじゃった。



 実を言うと、儂が入院し、急遽、長男が入所しなければ成らなくなった時、儂は、以前から長男が短期入所させて戴いて居た「中国芸南学園」に入所させて戴く事を希望した。



 中国芸南学園からも、入所させて戴ける連絡を戴いちょったんじゃが、忠海町に在る中国芸南学園に、広島市の障碍児が入所するのはおかしい」と、他の広島市内の障碍者入所福祉施設から横槍が入って、中国芸南学園への入所が出来なく成り、仕方なく見真学園に入所する事が決まったんじゃった。



 入院中で身動きの取れん儂には、どうする事も出来んかった。



 何故、こんな事を広島市内の障碍者入所福祉施設が行ったのかと言うと、市や県から利用者一人に支払われる、年間600万円を超える法定代理受領金や、国や公的機関や支援企業から集まる、莫大な金額の助成金や支援金を廻り、各福祉施設が鎬を削っている事が背景に在るんじゃった。



 一般の方は、「地域の障碍者施設と言うモノは、福祉の充実の為に、互いに連携を取り助け合って居るのだろう。」と、言うイメージを持って居られるだろうし、儂も、息子が障碍者となるまでは、そう思いよったんじゃが・・・。



 現実は、福祉に携わるあらゆる福祉施設は、営利団体で在り、各施設が、ライバル企業として対立し、足の引っ張り合いをしよって、仲が良さそうに見える施設は、資本が同系列の福祉施設なんじゃった。



 障碍者の幸福の為」と、思ぉて運営されていても、『雲や霞を食っては生きられない』と、言う現実が在るけぇ、必ず営利団体と言う側面を持って居る。



 また、「広島県」と言う枠組みじゃと一括りにされるんじゃが、実際に業務にあたるんは市町村の現場であり、市町村毎の「縄張り意識」「対抗意識」は凄まじいモノが在る様で、これが福祉施設同士の諍いを助長する大きな要因にも成っちょるんじゃった。



 残念じゃが、どう仕様も無い現実なんじゃった。



 この事を語ると、また長ぉなるけぇ、割愛して、別の時に話す事にします。



  
見真学園の訓練棟 此方より寸借



 そがいな経緯から、広島市内の障碍者入所福祉施設に対して、若干の不信感を抱いちょったんじゃが・・・。



 この事も語ると、また長ぉなるし、キチンと話さんと誤解を招きかねんけぇ、割愛して、別の時に話す事にします。



 ただ、知的障碍者の入所施設に、申し込みをしても、順番待ちで10年以上も掛かる現状の中で、敢えて「退所」と言う選択をするには、それをするに足る程の出来事が在ったのだと御察しください。



 
障害者支援施設「見真学園」 此方より寸借



 儂が、「見真学園でのクラスター発生」に関して、最も危惧し、腹立たしい事は、合コンに参加していた広島市立大の20代男子学生が、9日に感染が分かった事が発表されていたのにも関わらず、女性職員は、保健所から感染者の濃厚接触者で在る為、検査を要請されるまで通常の勤務を続けていたらしぃ。



 女性職員が「知らなかった」とは考え難いし、「見真学園側も、知りながら隠ぺいしていたのではないか?」との疑念を持たれても致し方が無い事なんじゃった。



 事実が発覚してから、広島市では施設名を公表せんかったんじゃが、自主的に「見真学園のホームページ」「謝罪文を公表」したものの、一昨日迄アクセスで来たんじゃが、昨日からホームページにアクセスしても、「サイト閉鎖中です」と表示される様に成っちょるんじゃった。


広島市のコロナウィルス感染症指定病院(広島市舟入市民病院)此方より寸借



 とは言え、女子職員や「見真学園」ばかりを責める気には成れんのんじゃった。



 恐らく誰もが、心の何処かに、『自分は大丈夫‼・・・』と、言う、根拠も裏付けも無い、漠然とした自信を持って行動しよるんじゃと思けぇじゃった。



 もし、『外に出たら新型コロナウイルスに感染する』と、心底思って居たとしたら、一歩たりとも外に出る事は出来んじゃろぉし、誰とも会話できず、近付く事さえ叶わず、極めれば家族とさえ暮らす事が出来ん様になる筈じゃけぇ・・・。



 逆に、其処まで行き着いたら、最早、精神が崩壊しとるとも言えるんじゃが・・・。



 政府は、「人との接触を、70%・・・可能ならば80%まで減らして・・・」と、言ぅちょるんじゃが、なかなか難しいじゃろぉねぇ・・・。



 それでも、出来る限り努力せんと、誰もがパンデミックの種」に成り兼ねんのんじゃった。



 全国民に、強い自覚と責任感が問われちょる時なんじゃと思う。







 儂は、このニュースを聞いた時、子供の頃に読んだ、、エドモンド・デ・アミーチスの、『クオーレ』に出て来る、「難破船」の話を思い出したんじゃった。



 話の粗筋は、イギリスのリバプールの港から、孤児と成ったマリオと言う少年が、父の郷里に居る親戚を頼って行く旅の途中の船で、マルタの街に住む家族の下へ帰る、ジュリエッタと言う少女と知り合う。

 しかし、船は嵐に巻き込まれて難破する。

 一艘しか無い救命ボートに乗れるチャンスを得たマリオだったが、ジュリエッタを助ける為に自分は身を引き、ジュリエッタを救命ボートに乗せると、難破した船と共に海に沈んで行った。



 儂は、子供の頃、此れを読んで、この話が大嫌いになった。・・・たぶん、泣いたと思う。



 心が、切なさと遣る瀬無さに包まれたんじゃった。



 同じ『クオーレ』の中の、『母をたずねて三千里』は、「渡る世間に鬼は無し」と言う様なエピソードなのに対して、この話は酷過ぎるんじゃった。



 大人になった今は、究極の選択を迫られる状況の中じゃと、非情とも思える選択と決断をせんにゃぁいけんと言う事は、何と無く理解は出来るんじゃが・・・。  



 医療崩壊を起こした、欧米の医療現場では、「トリアージ」と呼ばれる、患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行う事が実行されよるらしぃ。



 もう助かる見込みのない患者からは、体外式膜型人工肺(ECMO, エクモ)を取り外し、人工呼吸器さえ取り外し、生存の可能性の高い患者に装着する、究極の選別が行われているらしぃ。



 日本でも、地震などの広域災害が発生した場合、ケガ人等の重症度に基づいてトリアージ・タッグが使用される場合が在るんじゃが・・・。



 果たして、日本でも医療崩壊が起こった時、日本の医療現場で同じ事が出来るじゃろぉか?・・・医師がそれを行ったら、「それは仕方が無い事だ」と、患者や家族は納得できるじゃろぉか?



 全ての日本人が、想定される事も、想定外の事態が発生した時も、それに備える為の「覚悟」を持たんにゃぁいけん時期が迫っちょる様に思うんじゃった。



 国や政治家とて同じ事じゃ。



 そもそも、政府や与党や野党も含めて、早期に対策や決断を出来なかった大きな要因の一つが、「2020東京オリンピックの開催」じゃった。



 これさえ無かったら、もっと早期に、様々な有効な対策が取られちょったじゃろぉと儂は思うんじゃった。



 来年に開催が延期されたとは言え、どぉ考えても、来年の内に、世界中を覆いつくした「2020チャイナウィルスパンデミックが、終息して、世界中の人々が東京に集まって、スポーツの祭典が開かれる事を、笑顔で喜び合える状況になるとは、到底思えんのんじゃった。



 強い覚悟を持って、その決断を早急に行う必要が在ると、儂には思えるんじゃった。



 「オリンピックが開かれんでもえぇじゃぁないね。作った施設は元気に成ってから利用すりゃぁえぇじゃろぉ。命あっての物種よ。」と、儂は声を大にして言いたい。



 そして、日本人が一致団結して、新型コロナウィルスと戦い、1人でも犠牲者を減らす為に、「強い自覚と責任感と覚悟」を持って、一日一日を確りと生きて行かんにゃぁいけん時じゃと思うんじゃった。・・・アジアの片隅より