「朝令暮改」・・・無い知恵と知識で、消費税増税を思う
「朝令暮改」(ちょうれいぼかい)と言う、故事成語が在ります。
意味としては、『朝に出した法令を夕方にはもう改める事。転じて、方針などが絶えず改まって定まらない事。』をさすのでした。
先日のブログ記事で取り上げた「朝三暮四」に似ていますが、「朝三暮四」程は使われないマイナーな四字熟語でしたが、平成10年1月22日の衆議院予算委員会で、鳩山由紀夫元首相が「朝三暮四」を「朝令暮改」の意味と間違え、「あっさり物事を変えてしまう事」と説明したとて話題になったのでした。
しかし、この時、儂は、『えっ‼・・・何で笑うん❔』と、思ったのでした。
何故かと言いますと、日本だと多く使われないのですが、「朝三暮四」は、中国ですと、猿回しが、猿達の反応を観て、すぐに餌の数を変えて仕舞った様に、「すぐに言ってる事を変える事」という意味として使われ、中国では『朝令暮改』と『朝三暮四』は似た様な意味で使われているのでした。
ですから、『鳩山由紀夫元首相の事を、嘲笑したり揶揄しよる、自民党や公明党の議員達やマスコミの方こそ物知らずじゃのぉ。』と思ったりもしたのですが、日本ですとと、殆ど使われない意味合いなのに、中国ではメジャーな使われ方をしよるのを使われたので、『流石‼・・・中国や韓国寄りの首相は違うのぉ‼・・・』と、頗る感心もしたのでした。
病気の母を看病する漢文帝 此方より寸借
『朝令暮改』は、前漢の第5代皇帝・文帝に、太子の家令であった鼂錯(ちょうそ)が、農業の重要性を説き示した上奏に由来するのでした。
この奏上文は、優れた奏上文として、今も高い評価を得ていますが、『中国故事街』と言うサイトに、非常に良い訳文が掲載されて有りましたので、其方から寸借させて戴きました。
【漢書・食貨志】より
今、五人家族の農家だとすれば、家族の中で二人は労役に服さねばなりません。
耕せる土地は百畝ほどで、百畝の収穫は百石足らず。
春に耕し、夏に草を取り、秋に刈り取り、冬に貯蔵します。
薪を伐採し、役所の修理をし、賦役も課されます。
春の砂嵐、夏の暑さ、秋の長雨、冬の寒さを避ける事も出来ず、四季を通して一日の休みも在りません。
また、各々の付き合いも御座います。
弔問や見舞いに行き、その合間を縫って、親のおらぬ子の世話をし、幼な子を養わねばなりません。
この様にまめまめしい苦労を重ねているのに、更に洪水日照りと言った災害に見舞われ、 苛政暴政に虐げられ、時を定めず租税が課され、朝に出された法令が、夕方には改められて仕舞います。
持てる者は市価の半値で売り、持たぬ者は倍の利息で金を借り、遂には畑や家、子や孫を売って借金を返す有様で御座います。
ところが、商人と言ったら、大きな者は買い占めて値上がりを待ち、何倍もの利益を得ています。
小さな者も店を構えたり、街を売り歩いたりして、珍しい物を片手に儲けて居ります。
一日中大きな街に出かけ、お上の急な需要に乗じて、売値を倍にも吊り上げます。
だから、この様な商人は、男は耕作もせず、女は絹も織らぬと言うのに、美しい着物を着て、上等の米や肉を食って居ります。
農民の様な苦労はせずに、農民の数千倍もの収入が在ります。
彼等は、金が在る為に、王侯貴族と交際ができ、力は官吏の権勢を上回り、金を使って、互いに押しのけ合って居ます。
遠くまで遊びに出かけ、車の覆いは遙か彼方からでも見え、立派な車に乗って、それをよく肥えた馬が引いて居ます。
絹の靴を履いて、薄絹を靡かせて居ります。
此れは詰まり、商人が農民を併呑しているからで在り、農民が流民となっている理由で御座います。
鼂錯(ちょうそ)が上奏したのは、文帝が即位した紀元前180年頃でしょうから、凡そ二千二百年前の事なのですが・・・。
奏上文から察するに、当時の世情は、現代の日本にも中国にも、驚くほど酷似している様に感じるのでした。
二千二百年の時を経ても、賢者の残された言葉や、歴史に学ぶ事無く、相も変わらず、政治家は悪政を行う事を恥とも思わず、大企業は暴利を貪り、農民や庶民は奴隷の如く蹂躙され疲弊している。
何と嘆かわしい事でしょうか・・・
何と愚かな事でしょうか・・・
「苛政は虎よりも猛し(かせいはとらよりもたけし)」とは、『礼記』の檀弓に在る故事成語なのですですが・・・。
10月1日に、消費税が10%に増税されてから、回転寿司チェーン店でシステムの不具合がおき、会計の時に消費税分が反映されない事態になった為、不具合が起きた店舗で店内飲食の客からは消費税分を取らない対応をしただの、JRの発券機で、一部区間の料金が表示されんトラブルが発生しただのとかの報道がされてはいたのですが、概ね平穏に移行がなされたみたいでした。
キャッシュレス決済5%還元セールを、ありとあらゆる店舗やスーパーや、ネット通販までもが打ち出して特売を遣っているので、『商売人は逞しいのぉ・・・』と、横目で見ているのですが・・・
「増税前より安く買えてお得(^^♪・・・」と、浮かれてインタビューに嬉し気に応えている御婦人を見ながら、「( ゚Д゚)ハァ?」と、溜息を吐いて仕舞ったのでした。
何遍も同じ事を言ぅ様なが、「社会保障費の財源を確保する為」に消費税が導入された筈じゃ。
政府は、低水準のマイナンバーカードの普及促進や、キャッシュレス決済の普及も絡めて、「増税分の5%還元する制度」を導入しました。
軽減税率対策補助金の一環として、消費税増税に伴う、新たなレジの購入等に対しては、「複数税率対応レジの導入支援」を行いました。
これを行う為に、どれだけの費用が使われるのかは、数字に弱い儂には分りません。
況してや、「消費税の経済効果を試算する計算式」など、サッパリ解りません。
消費税軽減税率の導入自体を危惧する意見も多いのでした・・・。
と、素朴な疑問が、次から次へと湧いて来るのでした。
御存知じゃろぉが、全部国費、元は我々が納めた税金なんじゃが・・・。
鼂錯の上奏を快く聞き入れ、文帝は、民意を重んじる徳政を行い、民衆にとっては社会が安定して歓迎すべき時代が創出され、文帝の治世は次の景帝の代と合わせて「文景の治」と賞賛され、後の世に至っても『漢の治世』は手本とされ、また、悪政が蔓延る度に、人々は『漢の治世』を乞い懐かしんだのでした。
鼂錯は、窮状に喘ぐ民百姓を思って上奏なさったのでしょうが、民達の、孫、曾孫、玄孫の代までもを思って居られた事でしょう・・・
50年、百年先の事を考えての政治・・・
日本に、それを思い、実行する為に積極的に活動しよる政治家が何人居るでしょうか❔
閣僚には、立憲民主党代表の枝野幸男氏も居ましたし、政府に対して熱弁を揮う報道でお馴染みの蓮舫議員も居ました。
この記事の初っ端にあげた鳩山由紀夫氏は、野田総理大臣による2012年の衆議院解散を受け、民主党執行部が『消費税増税、TPP参加などに対する党の決定並びに方針に従えない者は公認候補としない』という姿勢を打ち出した事に反発し、『総選挙に出馬せず、政界を引退する』ことを明言し、野田代表に直接伝達した後に、北海道苫小牧市で記者会見を行い、政界引退を正式表明したのでした。
儂は、「言い出しっぺは、あんた等じゃろぉ‼・・・」と、批判する気は更々在りません。
どの党が政権を執ろうが、誰が総理大臣になろうが、問題では無いのです。
「朝令暮改」とは言いませんが、コロコロ主義や主張や政党を替えて、目先の人気ばかりに目を向けずに、50年先、百年先の国家の有り様を考えて、孫、曾孫、玄孫の代までもを考えた徳政を行って貰いたいものだと、願っているだかなのでした。
今朝、スーパーで買い物したレシートの詳細を観たら、息子が毎朝飲む為の牛乳の税率は8%で、寝る前に飲むジュース(アルフェオフケア)の税率が10%になっているのを見て、「ほぉ~」っと、溜息を吐いたのでした。・・・アジアの片隅より